慶長十一年、死の床にあった柳生石舟斎が言い遺した言葉。それは、枕頭に侍っていた新陰流の達人にして、陰陽道の術客でもある柳生友景に、朝鮮妖術師との新たな死闘を覚悟させた。古代よりの怨讐をこえて魔界の王を味方にし、魑魅魍魎をも従えた友景は、後水尾帝の陰陽頭となり、この国を陰謀に陥れようとする者どもと対峙する。 痛快無比、奇想天外の歴史大活劇。●荒山徹(あらやま・とおる)1961年富山県生まれ。上智大学卒。新聞社、出版社勤務を経て、朝鮮半島の歴史・文化を学ぶため韓国留学。延世大学校延世語学院韓国語学堂卒業。1999年『高麗秘帖』で小説家デビュー。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で三度、吉川英治文学賞新人賞候補となり、2008年『柳生大戦争』で第2回舟橋聖一文学賞を、2017年『白村江』で第6回歴史時代作家クラブ賞作品賞を受賞。日韓交流史を主題とする時代伝奇小説を発表して注目を集めた。他の作品に『竹島御免状』『長州シックス 夢をかなえた白熊』『シャクチ』『キャプテン・コリア』など多数。