善鸞と絶縁した親鸞に、静かな終焉が訪れる。弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の、苦難の生涯を描く大作。第7巻「善鸞の巻」(下)では、親鸞の名代として東国へ下向した長子・善鸞であったが、高弟たちの冷たい仕打ちにより孤立していく。そして、父の教えを否定し、東国の念仏者たちを鎌倉幕府に告訴することとなる。これを知った親鸞は激怒し、善鸞を絶縁する。父を尊敬しながらも、また父の境地に辿りつけない善鸞の葛藤と、告訴に至る過程、そして、息子の裏切りに苦しむ親鸞の姿など、当作品最大の見せ場。やがて、親鸞に奇蹟も起きない静かな終焉が訪れる……。民衆と共に生き抜いた九十年の生涯を描いた長編の最終章。