人生に苦難はつきものです。苦難のない人生など、存在しないのではないでしょうか。しかしながら、苦難があるからこそ、人生といえるのかもしれません。しかるに、苦難と向き合うことに意味があり、そこにあるいは、活路があるのではないでしょうか。本書は著者が苦難と向き合う過程で詠んだ俳句・川柳などを収めた小品集です。作品と解説がセットになっております。タイトル「夜の歌」は、敬愛する作曲家グスタフ・マーラーの交響曲から拝借しました。「夜」を苦難の比喩として、また「歌」をそこに差す光明の比喩として用いています。夜を越えるのは骨が折れますが、かすかでもせめて歌が聞こえれば、気の持ち方はかなり違ってくるでしょう。本書が夜に立ち向かう方にとり、何かの一助となれば、これほどの喜びはございません。