仕事で移動中の〈俺〉は、大判の関東地域地図帖を脇に抱えた奇妙な漂浪者に遭遇する。<br />地図帖にはびっしりと、男の紡ぎだした土地ごとの物語が書きこまれていた。<br />千葉県北部を旅する天才幼児、東京23区の区章をめぐる闘い、奥多摩で運命に翻弄される少年少女の軌跡――数々の物語に没入した〈俺〉は、それらに秘められた謎の真相に迫っていく。<br />『宝島』で第160回直木賞を受けた俊英の、才気あふれるデビュー作。<br />