王の法より仏の道──。<br />天平13年(741年)3月、聖武天皇に招かれ、謁見する僧侶がいた。<br />僧の名は、行基。<br />民草を救うため、仏の教えを広めた僧は、その人心への影響力から、朝廷に恐れられ、弾圧すらされた。<br />朝廷から大僧正の位を授けられ、文殊菩薩の化身とよばれた男はどのような生涯を送ったのか──。<br />自然と愛するものに囲まれ、仏の道に目覚める幼年期から東大寺大仏建立、入寂までを丹念に描いた、長篇歴史小説。<br />