古き物には魂が宿るという。<br />届かぬ思いを宿した古物はやがて一つの古物店へと流れ着く。<br />鑑定する店主は鬼の男・鬼蔵。<br />男を支えるのは人間の妻・渚。<br />窓辺に置かれた真空管ラジオから流れる、もう逢うことの叶わぬ懐かしい人の声。<br />舶来物のドールハウスに住まう、仲睦まじい小さな住人たち。<br />戦地に向かった夫と妻をつなぐ、めおと茶碗の数奇な運命。<br />鴫沢古物店に集まるアンティークにまつわる小さな不思議を、奇妙な縁で夫婦となった二人が解き明かす――。<br />