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オリンピックがやってきた 猫とカラーテレビと卵焼き

戦争の記憶が薄れてきた昭和39年の秋。
高度経済成長ただ中の日本で、国民の期待と関心を一身に集め東京オリンピックが始まろうとしていた。
東北の小さな地方都市で、西洋館に住み込みで働く料理上手のおトキ。
彼女は戦後不遇な少女時代を送り、11歳で親戚から女衒に売られそうになったところを、この家の女主人に救われた。
上品な女主人、奥様は世間知らずだが聞き上手、タロットカードの占いもするので、町内からいろいろな人々が相談にやってきた。
同じ町内に大家族で住む民子の家に、生まれて初めて見るカラーテレビが運び込まれ、家族みんなが興奮に沸き立っていた。
「うちにもオリンピックがやってくるんだ!」民子の同級生で、母がいないためにいつも汚い格好でひとりでいるるみ子。
しかしなぜか、自分にだけは積極的に話しかけてきて、みんなの手前ばつ悪くうっとうしく感じる民子。
ある日るみ子の祖父母が交通事故で亡くなってしまい、東京に引き取られることになる。
見送る日、迎えにきた父親にるみ子から「ともだち」と紹介され、民子は思わず泣いてしまう。
そして、東京オリンピックが始まった。
どこの家庭でも、開会式を見るためにブラウン管の前に家族全員が集まる。
永遠に続くと思っていた平凡で平和な日々、でもいずれはすべて遠い記憶になってしまうのだ。
昭和の時代、日本中の家庭にあった笑いと切なさと涙。
人々の記憶に刻まれたなつかしい時代の、なつかしい日々を描いた「朝ドラ」的物語。




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