第六十二番監獄。<br />明治の初めに北海道の奥地に建てられたその監獄は、収監されれば二度と出られないという噂から、〈黒氷室〉の異名で恐れられていた。<br />〈黒氷室〉行きとなった青年・北浦は、奇妙な囚人たちに出会う。<br />三度目の脱獄を目論む不死身の男・赤柿、帝都の私立探偵だという浮世離れした美青年・御鷹、そして閉ざされたはずの監獄に、ある日突然現れた記憶喪失の男。<br />こいつは誰で、どこからやってきたのか? 謎を探るうち、北浦は監獄の〈本当の目的〉を知る!