本を愛した彼女と、彼女の本の物語
僕は本だ。
一冊の文庫本だ。
書名は『ホテル・カロン』。
文庫本である僕は、なぜか生まれた時から意識があった。
僕は悲しい事になかなか売れず、いつか返本されてしまうのではないか――そんな恐怖を抱き始めたある花冷えの日。
何の前触れもなく僕は購入され、ある一人の少女・銀河と出会った。
生きる希望を見失い、ただ無気力に過ごしていた彼女は、瞬く間に僕に恋をし、僕もまた彼女に恋をした。
これは文庫本である僕が、ある一人の少女と過ごしたかけがえのない日々の物語だ。
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