大学を休学中の貴美也は、父・龍一郎に反発しながらもその庇護下から抜け出せずにいた。<br />北海道での鹿狩りに連れ出され、山深く分け入ったその時、2人は突如熊の襲撃を受ける。<br />貴美也の眼前でなすすべなく腹を裂かれ、食われていく龍一郎。<br />どこからか現れた野犬の群れに紛れ1人逃げのびた貴美也は、絶望の中、生きるために戦うことを決意する。<br />圧倒的なスケールで人間と動物の生と死を描く、第21回大藪春彦賞受賞作。<br />解説 平松洋子