来世の記憶
「あたしの前世は、はっきり言って最悪だった。
あたしは、おっさんだった」地球爆発後の近未来。
おっさんだったという記憶を持つ「あたし」の親友は、私が前世で殴り殺した妻だった。
前世の記憶があるのは私だけ。
自分の容姿も、自分が生きてきて得たものすべてが気に入らなかった私は、親友が前世の記憶を思い出すことを恐れている。
(「前世の記憶」)「ああもうだめ」私は笑って首を振っている。
「うそ、もっとがんばれるでしょ?」「だめ、限界、眠くて」寝ている間に終わった戦争。
愛も命も希望も努力も、眠っている間に何もかもが終わっていた。
(「眠りの館」)ほか、本書のための書き下ろしを加えた全20篇。
その只事でない世界観、圧倒的な美しい文章と表現力により読者を異界へいざない、現実の恐怖へ突き落とす。
これぞ世界文学レベルの日本文学。
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