緋色の稜線
ホテルで行きずりの女を殺してしまった吉行は、車で逃げる山中で不思議な少年と幼女に出会う。
「和子」と名乗る幼女の家に帰る途中だという。
なりゆきで乗せてやることになった車内で、無邪気に話す和子の声を聞きながら、ふと吉行は自分の過去を振り返る。
夜の闇が迫りひどい疲労感に襲われた吉行は、親子と偽り小さな旅館に宿をとる。
穏やかな夕食と温泉。
まるで本当の親子のようだ、そう独り言ちる吉行の目に飛び込んできたのは、膝に乗ってきた和子の首に残る、一筋の赤い線だった。
過去の記憶がよみがえり苛む……。
大人のサスペンス・ミステリ!(※本書は、2012年9月講談社より刊行された単行本『白兎1 透明な旅路と』を加筆修正し、改題の上文庫化したものです)
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