僕といた夏を、君が忘れないように。
僕の世界はニセモノだった。
あの夏、どこまでも蒼い島で、君を描くまでは――。
美大受験をひかえ、沖縄の志嘉良島へと旅に出た僕。
どこか感情が抜け落ちた絵しか描けない、そんな自分の殻を破るための創作旅行だった。
「私、伊是名風乃! 君は?」 月夜を見上げて歌う君と出会い、どうしようもなく好きだと気付いたとき、僕は風乃を待つ悲しい運命を知った。
どうか僕といた夏を君が忘れないように、君がくれたはじめての夏を、このキャンバスに描こう。
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