家出中の妹ですが、バカな兄貴に保護されました。
二度とこの町に戻らないつもりだった。
飛行場へと向かう車に揺られながら、龍二は言い知れぬ不安に胸がざわつくのを感じていた。
進学を機に、故郷を捨てた大学院生の龍二。
だが、研究室所有の実験飛行場を監督するため、夏休みの間、再び故郷へと足を踏み入れることとなった。
「――久しぶりだな、クソアニキ」 そこで待っていたのは、町で評判の悪ガキになり果てた異母妹の樹理。
龍二にとって、消し去りたいトラウマそのものだった。
龍二は家出中の樹理と、飛行場で共同生活を送ることになり――。
これは不良小学生の妹と、里帰り中の兄。
離れ離れになった兄妹の再会と再生を描いた、ひと夏の物語。
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