北陸加賀に「百姓ノ持チタル国」が建てられて八十年。<br />誰の支配も受けず、民衆が自ら治める一向衆の政は、内外の戦に明け暮れるうちいつしか腐敗し、堕落していた。<br />織田信長や上杉謙信、朝倉義景ら強大な外敵に囲まれ、窮地に陥った加賀に現れたのは、「仁王」と呼ばれる本願寺最強の坊官・杉浦玄任。<br />加賀から越前、さらには日本全土に「民の国」を築くため、玄任は救いなき乱世で戦い続ける――。<br />