1845年、オーストリア帝国の支配下にあるポーランド。<br />寒村ジェキに赴任した役人ゲスラーは、若き妻を伴い陰鬱な地にやってきた。<br />かつて文学青年だった彼は、愛国詩人でもある領主との交流を心待ちにしていたのだ。<br />だがその矢先、村で次々に不審な死が発生し、人々は土俗的な迷信に怯え始める――独立蜂起の火種が燻る空気の中、人間の本質と恐怖の根源を炙り出す、恐ろしくも美しい物語。<br />皆川博子氏と作者による解説を収録。<br />