小石川御薬園同心の岡田弥一郎は、同輩の佐々木六郎太に誘われ上野の小料理屋にやってきた。<br />そこで弥一郎は、思わぬ人物に再会する。<br />数日前、彼は、女性のお供を連れた老爺が道端で苦しんでいたのを助け、小料理屋まで運んだのだった。<br />その時の女性が、目の前にいる時枝だった──。<br />優しさを秘めながらも、言葉にできない弥一郎と、自らの苦境に耐え続ける時枝。<br />二人の再会は偶然か、それとも運命なのか。<br />書き下ろし時代長篇。<br />