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夜明けを待つ未亡人

ここではいや……ほかの場所で……。
仏壇の前でしどけなく横座りして、真珠のような涙で頬を濡らし──。
会社員の朋彰は理由もわからずに車を出すよう兄に頼まれて、葬儀場へと向かう。
そこで遺影を持つ喪服姿の女性に目が留まった。
彫刻のような美貌の女性は目が潤んでいたが、悲しみだけではなく、どこか怒気が揺らめいているようにも見えた。
それは、車から降りずに遺影をただ見つめる兄の姿と重なった。
久しぶりに会った元警察官の兄は落ちぶれていて、この日を境に音信不通に。
ようやく兄を捜し出すと大怪我をしていて──そんな状態の兄に誘導され、ある家を訪ねると、葬儀場にいた女性、朝香の姿が……。
兄と朝香の秘密に迫るにつれ、朋彰は思わぬ展開と事件に巻きこまれていき──。
【目次】第一章 偽りの愛でも第二章 刹那の快楽第三章 背徳感に溺れて第四章 お礼は念入りに第五章 一周忌のあとで




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