漉き紙に咲く
人里離れた古民家に工房を開き、ひとり手漉き和紙職人として働く葵のもとに、スランプに悩む日本画家・沖家が訪ねてくる。
自身も一度は絵を志したが、途中で諦め別の道に進んでいた葵は、容赦ない批評を彼に浴びせるが、それが逆に沖家を刺激することになり…。
「あんたは、真っ白な人間だよ。
俺なんかから見たら、眩しくてしょうがないくらいだ」。
寒さにかじかむ手をすりあわせ、息を白くしながら100号の和紙が漉き上がったとき、葵はその前にぺたりと正座すると、絵のモデルのように姿勢を伸ばし沖家を見つめた…。
本作品は2011年12月1日発行「白の秘密」に収録された作品を分冊したものです。
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