当家に奉公に来て三月。<br />殿が菊乃を見る目に、最近とみに欲の色が濃くなっている。<br />しかし、殿は菊乃に酒を注がせ、その顔を蕩けたように眺めるばかりで、なかなか手を出そうとはしない。<br />ある日、家宝の皿を運ぶよう申し付けられた菊乃は、殿の戯れをうける。<br />皿に傷ひとつでもつければ命はない。<br />菊乃は快感をぐっと我慢する。<br />やがて奥方の謀略により、菊乃は皿を割ってしまう――。<br />