箱館にて、かつて洋式帆船造りの名匠と謳われた船大工の続豊治。<br />だがある不運から、豊治は一介の仏壇師として20年余りを過ごしていた。<br />そんな豊治を伊豆の船匠・上田寅吉が訪ねる。<br />寅吉との対話により、齢七十を過ぎた豊治の胸に船造りに賭ける熱い想いが再燃する――表題作。<br />江戸の名残が色濃い、明治初期の函館を舞台に描く五編。<br />