風が強く吹きつける日本海最北の離島、礼文島。<br />昭和二十九年初夏、動物学者である土橋義明は単身、ここに赴任する。<br />島の出身者から相次いで発見された「エキノコックス症」を解明するためだった。<br />それは米粒ほどの寄生虫によって、腹が膨れて死に至る謎多き感染症。<br />懸命に生きる島民を苛む病を撲滅すべく土橋は奮闘を続ける。<br />だが、島外への更なる流行拡大を防ぐため、ある苦しい決断を迫られ……。<br />