パトロンを持ちながらも金融業で荒稼ぎし、金こそがすべてだと信条を掲げる令は、取り立て先で弁護士の網淵と出会った。<br />彼の実直さに苛立ちを覚え、取り立てを斟酌する代わりにと、自分を抱くように命じる。<br />この男を自分と同じ暗闇まで引きずり落とし、汚してやれば満足するはずだった。<br />けれど網淵に抱かれるほどに、彼が見せる不器用な優しさに奇妙な感情が湧き上がってきて……。<br />