日陰の身にもかかわらず慈悲深く麗しい主君・月千代に忠誠を誓う、近習の雛丸。<br />なのに、自分のためにその手を穢させてしまい、無念の思いで共に出奔した。<br />けれど月千代は軛から解き放たれたように艶やかで、獰猛さを滲ませた顔をする。<br />「真のまぐわいというものを教えてやろう」遊女屋の主に収まった月千代に囁かれ、恍惚のまま身を任せた雛丸は、やがて物狂おしい想いに囚われ──。<br />