それは戯れの会話――「もし金をやるといったらいくら欲しい?」「一億円」だが、そう答える加藤の声は真剣で――彼は、なにを考えている?ふたりの出会いは火曜日のバー。<br />加藤はあまり自分のことを語らない青年だったが、長門の誘いを嫌がる様子もなくホテルについてきた。<br />しかし真剣な交際を望むと、その美しい顔で、ただ火曜日に会うことだけを許した。<br />好意は感じるのに、まるで掴めない彼自身とその真意に、心を乱し続ける長門だったが…。<br />