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銀の瞳の令嬢と海を越えて

トリスタンは公爵の次男として生まれながら、14歳のときにすべてを失った。
それ以来、海に生き船長にまでなった彼は、もはや自分のことを貴族だとは思っていなかった。
ある日、トリスタンのもとを伯爵令嬢アンが訪れ、4年前にクリミアへ出征した婚約者に会いに行くために船を出してほしいと頼む。
一度見たら決して忘れられないアンの銀の瞳にトリスタンは心を奪われる。
それは悲劇を見てきた瞳だった。
トリスタンは船賃はいらないと断るが、船を出すのにひとつだけ条件を出す。
それは、航海の途中でただ一度だけキスをさせるというもの。
急がない、ゆったりした長いキスを……。
憤慨したものの、結局その条件を受け入れたアン。
ふたりの旅路の果てに待つものは――




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