翔太に刺され意識不明の重傷を負った拓巳の魂は、仙畍の召龍湖で心地よくたゆたっていた。<br />藍卦は穢れた速贄の分際である拓巳が神域に居座ることが我慢ならなかったが、黒森の主といえども神威の宿る蘇迷廬は不可侵だったため、どんなに腹立たしくとも手出しできずにいた。<br />一方、12年もの長い眠りから目覚めた仁の退院帰宅を、家族は歓喜で出迎える。<br />しかし本人の口から、事故後ずっと幽体離脱していたと驚愕の真実を告げられて――!?