京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛(まくず)。<br />ある日、紅葉を楽しんでいると侍同士の諍いが耳に入ってきた。<br />「黙らっしゃいッ!」――なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女。<br />あげく夫を置いて一人で去ってしまった。<br />真葛は、御典医を務める義兄の匡(ただす)とともに、残された夫から話を聞くことに……。<br />女薬師・真葛が、豊富な薬草の知識で、人のしがらみを解きほぐす。<br />