辞令がなければ、函館に戻るつもりなどなかった。<br />刑事・田原稔は、函館西署着任の前日、殺人事件発生の報を受ける。<br />被害者は、かつて愛情をかわした女、水野恵美だった。<br />反故にされた約束。<br />忘れたことはない。<br />忘れられるはずがない。<br />この事件に関わることは、二十年前に彼が故郷を捨てざるを得なかった、ある事情を追うのと同じこと。<br />田原は黙々と捜査を続けていく。<br />警察小説の傑作!