わけあって武士を捨て、高瀬川界隈で評判の居酒屋「尾張屋」の主となった宗因は、かつての朋輩を訪ねて淀に出かけた。<br />その帰途見かけた田圃を耕す初老の男が、四国遍路に出かけたはずの塩問屋播磨屋(はりまや)の主であることに気づき問いただすことに。<br />播磨屋が語り始めた予想外のいきさつは……。<br />高瀬川に集う市井の人々の哀歓と人生の機微を描いて深い感動を呼ぶ珠玉の連作集。<br />【解説】大矢博子