五歳のとき別荘で事件があった。<br />胡蝶グループ役員の父親が階段から転落し意識不明。<br />作家の母親は自室で縊死(いし)していた。<br />夫婦喧嘩の末、母が父を階下に突き落とし自死した、それが警察の見解だった。<br />現場に居合わせた僕は事件の記憶を失い、事業を継いだ叔父に引き取られた。<br />十年後、怪しいライターが僕につきまとい、事件には別の真相があると仄(ほの)めかす。<br />著者長篇デビュー作、待望の復刊!