時は宝暦四(1754)年、屑鉄買いの鉄鐸(さなき)重兵衛は下野国の小藩の鉄山奉行だった。<br />藩が改易になり、仲間と江戸に出てきたのだ。<br />その日、飴を目当てに古釘を持ってくるなじみの留松という子が、差し出したのは一振りの小柄(こづか)だった。<br />青く銀色に光っている。<br />重兵衛は興奮した。<br />希少な流星鉄(隕鉄)を使った鋼(はがね)で作られている。<br />しかし、その夜、留松の一家は惨殺され、重兵衛たちは事件の渦中へ……。<br />