最愛の人を喪った武蔵は、笑みを絶やさなかった。<br />それは鉄壁の鎧のごとくであって、余人の付け入る隙を与えぬがためである。<br />槍術の達人・宝蔵院胤栄、そして天下の剣豪・柳生石舟斎とあいまみえながら見据えるのは佐々木小次郎の姿。<br />ときに憎しみに近い妬心を、ときに身を捩りたくなるような懐かしさを覚えさせる男。<br />いざ、決戦のとき。<br />衝撃と感涙のクライマックスに向けて物語は猛然と突き進む。<br />堂々のシリーズ最終巻!