「死ぬまで時間がある。<br />ゆっくりと勤王が何であるかを考えてみることだな」土方歳三は言って刃を拭った。<br />志士の腹から、白い腸がぬるりとこぼれ出した。<br />攘夷か開国か、倒幕か公武合体か。<br />世情ますます混沌たる中、文久三年八月十八日の政変勃発。<br />御所の警衛に出動した浪士組は、ついに「新撰組」の名を拝受した。<br />土方の次なる一手、それは局長首座、芹沢鴨の抹殺であった……。<br />