浴室に転がった孝の生首が、貴子を見上げていた。<br />「いゃあっ!」。<br />貴子は悲鳴を上げ、生首を蹴り上げた。<br />「お父さん!」。<br />優太が、赤い飛沫を上げながら排水口に転がる生首を慌てて拾い上げた。<br />―死体の解体を終えた貴子は最後の足をゴミ袋に詰めた。<br />手伝わされた優太は完全に壊れていた。<br />この場で繰り広げられている地獄絵図は、富永の存在なしには起こり得るはずがなかった。<br />