病院で刺殺事件が起きた。<br />被害者は田久保仁。<br />北穂高から涸沢岳へわたる岩稜から転落し、入院中の患者だった。<br />手がかりはベッドに落ちていた栗色の髪の毛。<br />遺された妻の証言から、怨恨の線は薄いと思われた。<br />長野県警豊科署の道原伝吉警部らは操作を開始。<br />やがて殺害直前、田久保の病室を訪れた男の存在が浮かぶ。<br />さらに田久保の友人が函館・駒ヶ岳でガス中毒死していた事実が判明し……。<br />長篇山岳推理。<br />