徳川幕府が倒れた明治初期、廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ、首を落とされた野仏が路傍に転がる信濃路を旅の雲水・虚空が往く。<br />虚空には野望があった。<br />かつて自らも加わり討幕に奔走した赤報隊は、佞臣・岩倉具視の裏切りで指導者は処刑され、虚空はからくも追捕から逃れた。<br />その岩倉と対峙して、信濃二十万の草莽を糾合し、自治国を樹立しようというのだ。<br />歴史ロマンに新境地を拓いた長篇意欲作。<br />