南アルプスの麓で、相続税に苦しむ佐竹恒春が自分の山に火を放ち失踪した。<br />妻は首吊り自殺。<br />十一歳の息子・樹里は、父を捜すと手紙を残し山に入った。<br />いつか父に教えられた鹿の聖地‘時の海’。<br />そこに父がいる気がした。<br />一方、樹里の捜索を開始した特別環境警備監の戸部新介は、豊かな自然の背後に巣くう巨大な政治の姿を目の当たりにする。<br />無施策に自然を枯渇させてゆく国家に警鐘を打ち鳴らす迫真のハードロマン。<br />