荒垣光伸は、東京・調布にある中小企業の二代目社長である。<br />妻が創業者の娘で、その跡を継いだのだ。<br />荒垣は中年の体力を維持するため妻の勧めで不承不承、毎晩三十分ほどジョギングをしている。<br />そんなある夜、彼はジャガーに乗った女が男を轢くところを目撃した。<br />男は虫の息だった。<br />荒垣は車に同乗し、女に病院に運ぶよう指示した。<br />だが、途中女の話を聞くうちに心の中で何かが蠢き始めた。<br />長篇サスペンス。<br />