谷中延命院の住職・日潤の美男ぶりが江戸で評判になって八年。<br />日潤は大奥の中臈・梅村と情を通じ、以来、寺院に日参する女たちは引きも切らず、夜毎、狂乱の痴態が繰り広げられていたのだ。<br />見逃せなくなった寺社奉行・脇坂は密偵として奈江を放つが、奈江は自らも日潤の性技に溺れてしまう――。<br />関係した女が数百人ともいわれ、十一代将軍家斉の治世を揺るがせたスキャンダルを、濃密な筆致で描いた官能絵巻。<br />