新人作家の登竜門といわれる文学賞を受賞し、一躍、人気作家の仲間入りをした小高省吾には、人には言えない秘密があった。<br />手中にした名声を一挙に崩壊させるような男の存在が、彼を不安にさせるのだ。<br />それは、昔の同人誌仲間、松江俊吉で、文学賞受賞に絡む‘密約’によるものだった。<br />松江が身を持ち崩すに至り、小高の胸に激しい殺意が兆す。<br />事故死を装った完全犯罪のはずだったが…(表題作)。<br />本格推理集。<br />