黄泉国もしょせんは幻戯、釈迦が仏教哲理を駆使して支配する異次元世界にすぎぬ――劫河に在るという地蔵菩薩の加護に賭けた西村は、猜疑と狂気、恐慌と日和見に明け暮れる編集者たちを糾合、遂に軍団を結び、冥府中枢への攻撃を画策。<br />地獄を乗っ取ろうというのだ。<br />鬼あり、奪衣婆あり、幻術吏あり。<br />珍獣、珍酒限りなし。<br />絢爛たる地獄図会の中、二十二人の妄者は嬉々として迷走していく。<br />