清水市の三保の松原の砂地で船越広勝の死体が発見された。<br />死因は一酸化炭素中毒。<br />船越は旅行会社社長の四十二歳、二年前、バーに勤める玲美を入籍したが、実際は先妻の寿子の同意を得ないで離婚届を出しただけの重婚であった。<br />玲美には恋人がおり、また寿子には船越の生命保険という動機があった。<br />しかし、犯行時間のアリバイは二人ともに崩せない―(「重婚」)。<br />ほかに六篇を収めた会心の推理小説集。<br />