伝九郎頭巾と聞いただけで、呑太は全身の血が熱くなる。<br />どんな悪人であろうと、それなりの節度がなければならない。<br />それが、この伝九郎頭巾と俗称される盗賊は、押し込み、追い剥ぎ、幼児殺しとその場の思い付きで凶行に及ぶのだ。<br />必死に捜査を続ける呑太の前に、船頭が赤ン坊を抱えて飛び込んできた。<br />(表題作)疫病神と恐れられる男の怒りが炸裂する痛快捕物。<br />巨匠の文庫オリジナル。<br />