ゆえあって航空会社のパイロットを辞め、トラック運転手に身をやつしている三井田久志は、暇があれば息子・友彦を連れ、調布飛行場で一時の感傷にふけるのを常としていた。<br />ある日、携帯したラジオのニュースに「お母さん!」と友彦が反応を示したことで愕然とする。<br />ニュースが報じているのは女子大生誘拐犯の脅迫電話の録音であり、それが二年前に蒸発した妻の声にほかならなかったからだ。<br />三井田は事件に関わらざるを得なくなり……。<br />長篇推理。<br />