紡績会社の係長・仁科秋雄は、三十代で念願の分譲住宅を購入した。<br />陽当たりのよい高台の、3LDK。<br />同じ会社のOL山藤節子は、病身の母を抱えての遠距離通勤に耐えかねて、会社に近いところに中古マンションを購入する。<br />二人にとってこの新居は満足のいくものだった。<br />だが、思いもよらぬトラブルが起こる。<br />住民のエゴと業者の思惑――そして殺人事件が。<br />マイホームが引き起こした悲劇を鋭く衝いた長篇推理。<br />