レストランチェーン・ニコライの社長、市川俊夫が突然謎の脅迫電話を受けたのは、愛人、森田佳子と情事の最中だった。<br />二十五年前、市川は長崎の鶴島炭鉱で博打打ちの堀切勇次と娼婦の井上清子の二人を殺害し、重要参考人とて拘留された。<br />が、証拠不十分のために不起訴となり、事件はすでに時効になっていた。<br />松浦と名乗る脅迫相手は、人殺しの確証があるとほのめかし、市川の心胆を寒からしめた…。<br />