足利政権の末期、京に一人の若者が現われた。<br />若者の名は、塚原新右衛門高幹(たかもと)。<br />常陸の国鹿島に伝わる剣技をたずさえて、兵法修行の旅に出た、後の剣聖・塚原卜伝の若き日の姿であった。<br />十有余年後、鹿島に戻った新右衛門は、一朝、鹿島神宮の神木の前で、ついに秘伝‘一の太刀’を完成する。<br />新当流の一流をたてた彼は、やがて新たな修行の旅へ出た。<br />剣に命を賭けた男を描く傑作時代長篇。<br />