世界的に活躍中の天才ヴァイオリニスト・神尾八千代は、留学先で母・貴子の心中自殺の報せを受け、帰国することになった。<br />心中相手は、母の幼馴染みの森田八郎だという。<br />二人は天草の十三仏崎の断崖から、遺書を残して飛び降りたのだった。<br />傷心する彼女の許に、昔から二人をよく知る山ノ内陽介という中年刑事が訪ねて来た。<br />彼は、心中として公式に処理されたこの事件に疑いを持っているというのだが――。<br />