平凡な暮らしとはいえ、幸せな家庭を築いた男。<br />しかし、妻子とのやり取りに行き詰まりを感じて出奔してしまう。<br />たどり着いたドヤ街で小さな白い錠剤を見つけた男は、遺書を書き、それを飲む。<br />小説のネタになるならよし。<br />よしんば死んでも構わないと考えて。<br />目覚めるとそこは10年前、結婚前の世界だった。<br />人生を選べる幸せを、男は噛み締めていたのだが……。<br />芥川賞作家が描く大人の偏愛。<br />